パソコンの水没で間違った対処法をするとより重症になる!

パソコンの水没トラブル対策ガイド:正しい対処法と修理のポイント

パソコンの水没について

ノートパソコン、デスクトップ、タブレットなど、あらゆるパソコンに起こり得るトラブルの代表格が「水没」です。
特にノートパソコンの水没事故が最も多く、キーボードに飲み物をこぼしてしまうなど、誰にでも起こりうるアクシデントです。
ですが、間違った方法で乾燥させたり使用を続けたりすると、修理代が高額になったり、最悪修理不可となってしまう場合もあります。
本記事では、水没時にやりがちな誤った対処法と、修理店視点での正しい対処手順を詳しく解説していきます。
もしパソコンが水没してしまったら、焦らずにこの記事を参考に正しい行動をとってください。


水没の修理事例から学ぶ「やってはいけない対処法」

水没したノートパソコン

当社でも年中お問い合わせいただくのが、水没によるパソコン故障です。
特に多いのは、キーボード上へコーヒーやジュース、お酒などの飲み物をこぼしたケース。
しかし、ほとんどの方がインターネットの誤った情報を鵜呑みにした結果、かえって状態を悪化させてしまっています。

例えば、「ドライヤーで乾燥させた」「数日放置してみた」「乾燥剤と一緒にジップロックに入れた」などの行為です。
水没したパソコンは適切な処置をしなければ腐食が進み、結局マザーボード(ロジックボード)に深刻なダメージを与え、修理不可または高額修理に至りやすくなります。

MacBook Pro 2016モデルの水没事例

MacBook Pro 2016の水没

上の画像は、比較的新しい機種であるMacBook Pro 2016 (Touch Bar)が水没し、画面が映らなくなった例です。
持ち主の方はインターネット情報を頼りに「ドライヤーで乾かす」「数日放置」などを実践しましたが、症状は一向に改善せず、最終的には当社へ修理相談されました。
Apple(メーカー)に問い合わせたところ「買い替えを勧められた」「高額修理の見積もりを提示された」というのもよくあるパターンです。

ポイント: 水没に関するネット情報の大半は誤りか、過度に簡略化されていて実際には役に立たないものが多いです。特に個人のブログで「ドライヤーで完全復活した!」といった事例があっても、それは偶然か一時的復旧に過ぎません。
水没時の正しい処置を行わなければ、長期的な復活は難しく、状態を悪化させるだけなのです。


よくある水没の誤った対処法【絶対NG】

水没対策としてインターネット上に出回っている情報は下記のようなものがありますが、いずれも基本的にNGとお考えください。

  • ジップロックにパソコンと乾燥剤を入れて放置する
  • ドライヤーの熱風でキーボード周辺を乾かす
  • 何日か自然乾燥した後に再度電源を入れてみる
  • 「分解せずに拭くだけ」で済ませて再使用

上記を実践して一時的にパソコンが立ち上がることも確かにあります。
しかし、コーヒーやジュースなどの糖分や塩分が基盤上に付着すると、次第に腐食が進み、数日~数週間後に電源が入らなくなる・画面が映らなくなるなどの重大故障へ繋がる可能性が高いです。
結果として修理店に持ち込んだ際にはマザーボード全体が腐食していて交換不可、データも復旧困難という最悪の結末を招くこともあります。

要注意: キーボードの表面だけ拭き取り「直った!」と感じても、内部基板には液体が侵入している可能性が高いです。見た目は変わらなくても内部で進行する腐食を止めるため、プロによる分解洗浄が不可欠です。


パソコン修理店が教える正しい「水没時の応急処置」

パソコンが水没した際、多少の操作や分解ができる方向けの正しい応急処置をご紹介します。
ノートパソコンの場合が最も多いので、ここではノートPC前提で解説しますが、デスクトップやタブレットでも考え方は類似しています。

【1】電源が入っている場合は即座に電源を切る

まだ動作しているからといって「データを保存してから…」などと考えていると、マザーボードに電流が流れ続けて腐食を加速させるリスクが高まります。
まずは電源ボタンを長押しして強制シャットダウンしましょう。
保存していないデータよりもパソコン全体の生死がかかっていると割り切ることが大切です。

【2】可能であればバッテリーを外す

外部電源を遮断しても、バッテリーから電流が供給されていると基板がダメージを受け続けます。
背面に着脱式バッテリーがある機種なら、すぐに外してください。
近年のノートPCは内蔵バッテリーが多く、簡単には外せません。その場合は無理に自力で分解せず、速やかに修理店へ持ち込むのが理想です。

【3】ノートPCを裏返しにする

キーボード面に水分がたまらないよう、パソコンをそっと裏返して斜めに立てかけるか、逆さまにしておきます。
この時、液体が画面へ流れ込まないよう、画面とキーボードの間にタオルを挟むなどして配慮してください。
ただし、画面を過度に折り曲げない(パネルが割れる恐れがあります)ように注意しましょう。

【4】修理店へ持ち込み、早急に分解洗浄を依頼

自己判断で乾かすだけでは、飲み物に含まれる糖分・ミネラルが基板上に残り、腐食を進行させます。
分解洗浄によってマザーボードやキーボードから不純物を徹底的に除去できれば、重症化を防げる可能性が高まります。
緊急処置を行い、時間をおかずにプロに任せることが、水没パソコンを救う最善の方法です。


ノートPC・タブレット・デスクトップそれぞれの水没事情

ノートパソコン:携帯性が高く、キーボードと基板が近接しているため水没被害が最も多いカテゴリです。
キーボード上にコーヒーやジュースをこぼすと、基板まで液体が到達しやすい構造になっているため、即時対処が必要です。
タブレット:スタイリッシュな一体型設計で、分解しにくい機種がほとんど。
万が一水没すると画面と本体の隙間から内部に液体が侵入し、故障箇所が特定しづらいという難しさがあります。
デスクトップ:一見水没しにくいように思えますが、雨漏りや結露などで本体内部に液体が入り込む事例もゼロではありません。
デスクトップは構造上分解が比較的容易なので、パーツ交換もしやすい半面、電源ユニットやマザーボードが故障すると大掛かりな修理が必要になる場合があります。


水没修理の費用と納期

「水没させた場合、具体的にいくらかかるのか?」と聞かれることが多いですが、実際にパソコンを分解してみないと見積もりが出せないケースが大半です。
キーボード交換のみで済む軽傷から、マザーボード交換が必要な重症まで、故障範囲次第で大きく費用が変わります。

  • キーボード交換のみ:1万~3万円程度(機種により異なる)
  • 基板まで液体到達、マザーボード修理:2万~5万円以上
  • 海外メーカーの特殊基板交換:5万円以上、部品が入手不可なら修理断念もあり

納期も上記故障範囲や部品の入手難度に左右されます。
国内在庫がある部品なら1日~1週間程度で完了することもあれば、海外取り寄せや重度の腐食でマザーボード修理が必要になる場合は3~4週間かかることもあります。
「水没は時間との勝負」でもあるため、発生から修理依頼までの日数が短いほど軽傷で復活する確率が高いのが実情です。


まとめ:パソコンの水没対処は正しい方法で早めに行おう

パソコンの水没トラブルは防ぎきれない部分がある反面、適切な緊急処置を行うことで被害を最小限に抑えられます。
ドライヤーや自然乾燥といった間違った方法に頼らず、以下のポイントを押さえましょう。

  • すぐに電源を落とし、可能ならバッテリーを外す
  • ノートパソコンを逆さにして液体の広がりを抑える
  • 自力で直そうとせず、修理店の分解洗浄を最優先
  • ジュースやお酒など糖分・塩分を含む液体がこぼれた場合は腐食進行が速いので特に要注意
  • メーカー保証は水没をカバーしないことが多い
    → 自己負担で修理か、専門業者へ依頼

「たまたま乾いて復活したように見えても、数日・数週間後に突然電源が入らなくなる」という事例は非常に多いです。中・長期的にパソコンを使い続けたいなら、しっかり分解洗浄と不良パーツ交換まで行うことが不可欠。
こぼした直後の初動で対処を誤らなければ復活率は高まるため、焦らず、しかし迅速に行動するのがポイントです。


 

水没した時の対処手順をもう一度おさらい

【1】電源が入っているなら即電源を切る

保存していないデータがある場合でも、パソコン全体の損傷拡大を防ぐために先に電源をオフにしてください。

【2】着脱式バッテリーなら外す

内蔵バッテリーの場合は無理に分解せず、なるべく早く修理店へ。
通電を止めるのが最優先です。

【3】ノートPCを裏返しにし、タオルを画面との間に挟む

液体が重力で内部に拡散するのを最小限に食い止めます。
画面側に薄いキッチンペーパーなどを挟んでおくと液体の拡散をさらに抑えられます。

【4】すぐ修理店へ連絡・相談

自己流でドライヤーや自然乾燥を行うと、甘い液体の腐食が基板に付着し深刻化しがちです。
専門の分解洗浄が必須。


水没したパソコン修理の料金・納期の目安

◆軽度(キーボード交換のみで済む): 約1~3万円前後

◆中度(基板まで到達、簡易洗浄と一部交換): 2~5万円程度

◆重度(基板交換レベル、海外取り寄せ): 5万円以上になる可能性が高い / 部品入手不可で修理断念も

修理日数は1日~1ヶ月と幅広く、部品調達状況や腐食の度合いに左右されます。
早期に修理に出すほど復活率が高いため、迷ったらまず専門家に相談しましょう。


結論: 水没したパソコンを誤った方法で乾燥させると、後になって取り返しのつかない故障となるリスクが大。
水没した場合は、すぐ電源を切ってバッテリーを外し、パソコンを逆さまにして液体の侵入を抑える。その上で、できるだけ早くパソコン修理店の分解洗浄を受けることが不可欠です。

当社でも水没修理対応を行っておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。